2010年1月24日日曜日

Dvorak配列スイッチの非薦め

キーボードの配列は通常JIS配列というものが使われています。アスキー配列にというものにカナを加えた国際規格のものですが、アメリカはIBMの規格がポピュラーになってUSキーボードとなっていますが、これを使ってるのは韓国など国としては少数ですが、IBMPCの威力でドミナント・デザインとなっています。私も10年弱シリコンバレーで働いてましたのですっかりUSキーボードから離れられなくなりました。スイッチのコストが障壁になるわけです。ドミナント・デザインはMITスローン校のアターバックらが発見もしくは提唱した概念です。彼は著書でQwerty配列キーボードをその例として取り上げられています。その対抗として取り上げられているものが、Dvorak配列キーボードです。

ドボラックという人がその提唱者で、Qwertyより効率的であるとの主張であり、データとしても有意であることは実証されていますがQwertyを駆逐することはできませんでした。これの一因がスイッチングコストであり、ある意味ユビキタスな存在といえるQwertyキーボードのドミナント・デザイン性にあるということです。ちなみにドボラックは別の読み方ではドボルザークで有名な作曲家とは親戚関係にあるそうです。このあたりの詳しいことを知りたければ、アターバックの「イノベーション・ダイナミクス」や安岡孝一の「キーボード配列QWERTYの謎」を読むことをお勧めします。

数年前に遡りますがテーブルトップでのインタラクションで既存のキーボードがそぐわないことからテキスト入力のデバイスを再考する必要ありだと思い至りました。テーブルトップに表示するソフトウェアキーボードが現時点でも有力な候補なのですがハードウェアキーボードの効率や触感から最適解とはいえないわけで、それが何なのかもしそれがあるとしてスイッチさせることは可能なのかというところでちょっとした前実験としてDvorak配列に変えてみるかというところがありました。

結果として障害は色々ありました。まずDvorak配列のキーボードは売っていません。売っていても高価です。これはUSキーボードのキートップを入れ替えるということで対処しました。次に習得ですが1ヶ月くらいかかりキーの場所を覚えタッチタイプできるようになりました。しかしこの過程はとてもストレスフルなものでした。また習得したあともQwerty配列はちゃんぽんで使わざるをえないのですが、暫くそれを使うとまたDvorak配列にもどってもタイプスピードがどうしても落ちます。これは未だに起こる現象です。またUNIXをコンソールでつかっているとcdコマンドをjeと打ってしまう現象があります。これは指が覚えているというか大脳を介さない延髄反射レベルの習得技術なのだろうと思えます。

ということで囚われの身の私が言うのもなんですがDvorakにスイッチすることはまったくのところお勧めしません。初めてパーソナルコンピュータに触る人も多少の効率アップなど気にせず普通にJISキーボードを選択するべきだと思います。打鍵による腱鞘炎に悩む人がスイッチする理由としても希薄かなあと思います。それならキネシスを考えるべきでしょう。

しかし世の中は広いのでここまで断言してもDvorakを使いたい猛者はいるわけで、その人たちのために現時点でDvorakを使うための方法を書いておきます。まず、OSXやUbuntuなどのLinuxの設定は簡単です。設定でキーボードをDvorakにすればよいだけです。ただOSXはことえりなどのIMEの方も同時に設定しておかないといけません。システム設定の言語環境とことえりならことえり環境設定がそれです。Windowsは非常に面倒で標準では英語だけなら大丈夫ですが、日本語はうまくいかないので工夫することになります。お勧めはDvorakJになります。これはUSBメモリに入れてもできますので他人のPCにキーボードだけもって使うこともできて便利です。以下の作者のページからダウンロードできます。

http://blechmusik.xrea.jp/d/misc/Dvorak_keyboard_layout/

ウィンドウズは半角・全角キーが入力切替ですが、Dvorak配列にしたUSキーボードにはそのキーがありません。この設定はIMEでコマンド+スペースなどに当てられますが、このソフトならコマンドキーのみにもできます。アプリケーションの単一キータブで、[左Win]を英語配列使用時は{IMEを有効にする}にし、日本語配列使用時は{IMEを無効にする}に設定します。
それまでに使っていたDvorak krなどと比べてずっと優れています。もし、万が一、Dvorakにどうしてもという場合は必須のソフトウェアになるでしょう。

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